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2011年9月 1日 (木)

主題 <イエスの裁判2>

書箇所 ヨハネの福音書 19章  (2011年8月23日)

今日のみことば「イエスは答えられた。「もしそれが上から与えられているのでなかったら、あなたにはわたしに対して何の権威もありません。ですから、わたしをあなたに渡した者に、もっと大きい罪があるのです。」」(11)

 イエスに対する尋問と裁判は再び総督ピラトのもと、多くの群衆の前で行われた。ピラトはイエスに鞭を打つように命じられ、この時点で大変な傷をイエスは負われた。また、頭にはいばらで編んだ冠をかぶせられ、当時の王の装束の色である紫色の着物を着せて、人々の前に見世物のようにさらした。ピラトにしてみれば、これだけ辱めを与えれば、人々も十分納得するだろうと考えた。この時点では、ピラトはイエスに恩赦を与え、解放しようと考えていたからであった(10)。
 ピラトの予想していた群衆の反応とは異なり、むしろ狂気に満ちていた。イエスに恩赦を与え、解放するならば、イエスではなくバラバを解放するように願うというとんでもない要求をしてくるほどであった。ピラトは群衆を押さえつけるどころか、その狂気に満ちた姿に恐れをいだくほどであった。
 ピラトは最終的には、イエスの口から恩赦を求めていくことばを聞くことで解決を図ろうとした。ピラト次第で十字架刑が行われるのも、解放させるのも行う権威があることをイエスに訴える。しかし、イエスの返した言葉に驚かされる。「もしそれが上から与えられているのでなかったら、あなたにはわたしに対して何の権威もありません。」(11)。ピラトの弁護的な言葉に対して、明らかに、ピラトに与えられている権威を否定し、その上にある権威に従って、イエスはこの裁判を受け入れ、実に十字架刑へと進まれることを受け止めていることを告白している。イエスはこの地上の権威のもとにあるのではなく、父なる神の権威のもとに、その許しのもとにすべてを受け入れられ、神のみこころに従っていく歩みをされていることを話されたのだった。
 ピラトはイエスの言われていることを十分に理解することが出来ず、さらには群衆の狂気に満ちた姿に気圧されて、恐れるようになり、最終的には公平な裁判を行う責任を放棄して、ユダヤ人の群衆にイエスの身柄を引き渡して、十字架刑の許可を与えてしまったのだった。
 すべては人間的な思惑のうちに進められているようであるが、主イエスは神のみこころに従われていたことを改めて確認したい。