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2013年1月16日 (水)

主題 <痛む心の中で主に祈る> 

聖書箇所 サムエル記第一 1章  (2012年10月16日)

今日のみことば「ハンナの心は痛んでいた。彼女は主に祈って、激しく泣いた。」(10)

 ハンナの苦しみは「子どもがなかった」ことにあったが(2)、その苦しみを一層大きなものとしたのは、夫エルカナの、もう一人の妻ペニンナの仕打ちであった。ハンナを憎むペニンナは「主がハンナの胎を閉じておられる」ことで「彼女をひどくいらだたせるようにした」(6)。妻が二人いることの家庭の悲劇が、ここに見られる。
 ハンナの苦しみが最も大きくなるのは、毎年、主を礼拝するために宮に上り、家族そろって主の御前で食事をする時だった。神との和解を楽しむための会食が、ハンナにとっては耐えがたいほどの苦しみの場になってしまうのだった。子どものいないハンナヘの配分は、夫の愛に満ちた特別扱いにもかかわらず、子に恵まれたペニンナに比べて、ひどく見劣りのするものだったであろう(4、5)。それを、まるで神の恵みの配分そのものを示しているかのように見せっける、ペニンナの悪意に満ちた振る舞いに、ハンナはいらだち、「泣いて、食事をしようともしなかった」(7)。夫の思いやりに満ちた愛のことばも、彼女の痛んだ心を癒すことはできなかった。
 彼女は主の御前に身を低くし、激しく泣きながら、「男の子を授けてくださいますなら、私はその子の一生を主におささげします」と祈ったのである(11)。彼女は単に子を求めたのではなく、自分が神の恵みの中にあることを確認するところにあったと思われる祈りをささげている。彼女の苦しみは、主との関係の中でしか、本当には癒されないものであった。